判断能力が困難になった方の財産管理と身上配慮のために,2000年に成年後見の仕組みが作られました。高齢者本人の意思決定支援が本筋なので,本来,本人自身が依頼した任意後見があるべき姿ですが,現実は,裁判所が選任した法定後見となってしまいました。しかし,高齢者本人の財産活用のためには,ご自身が信頼できる任意後見人を選任すべきなのです。
後見とは一般に「背後にひかえて世話をすること。うしろだて」となることを言います。また後見人とは「 一般に、ある人の背後にいて、その補佐や世話をする人」です。
任意後見とは,将来自己の判断能力が不十分になった時の為に、後見事務の内容と後見する人を、本人が必要な判断能力があるうちに、自ら事前に決めておく制度のことをいいます。
将来判断能力が不十分になっても、最後まで自分らしく生きるために「事前に老後に備えたい」と考える高齢者のニーズに応える制度です。
自分がしっかりしている、つまり50代、60代の時に、将来認知症がでたら、自分の代わりに➀財産管理、➁介護や生活面の手配等をやってくれる人を選び、頼んでおくのが、任意後見制度です。預貯金や年金の管理、 そして介護保険の処理、入院手続、また高齢者専用賃貸住宅あるいは老人ホームへの入居契約を、自分で契約できなくなったとき、後見人が本人に代わって契約します。
後見人がきちんとやっているかどうかは、判断能力が不十分になっている本人に代わって、家庭裁判所が選んだ任意後見監督人が監督します。もちろん後見人が本人の財産を食いつぶすなどの濫用事例が見受けられるので、信頼できる人を後見人に選任すべきです。
任意後見契約を結んだとしても、直ちにスタートするのではなく、本人の判断能力が低下して財産管理ができなくなったときに、任意後見が始まります。開始時期は、任意後見を引き受けた者が家庭裁判所に申立て、任意後見監督人が選任されたときにスタートします。
本人の判断能力が低下したとき、つまり認知症が出たか否かは、やはり日常的にお付き合いしている人でなければわかりません。それゆえ、自分が“快適に老いる!”ことを考えるようになったとき、『かかりつけ弁護士』を身近におくことをお薦めします。
任意後見は,契約等の法律行為に限られます。
本人の医療行為についての同意等は含まれません。医療行為については、“事前指示書(私の四つのお願い)”により、自分のことについて判断できるときに、将来の自分の治療方針について決めておくべきです。
精神上の障害により判断能力が不十分であるため,契約等の法律行為における意思決定が困難な者について,後見人がその判断能力を補い,判断能力の不十分な者の生命,身体,自由,財産等の権利を擁護することを目的とする制度です。
※障害者権利条約12条が求める意思決定支援制度への移行からは,現行成年後見法は,代替意思決定制度であり,問題ありとされています。
法定後見には、後見,保佐,補助の3種類あります。
自己の財産を管理する能力が十分でない本人に代って、その財産を管理する者である(民法859条1項)。そのため、成年後見人には本人の財産管理に関する全面的な代理権および取消権が与えられている。
代理権付与審判によって付与された代理権(民876条の4第1項)および同法13条1項所定の同意権・取消権、さらには審判により追加的に定められた同意権・取消権の範囲内で、財産管理に関する事務を行う(同法17条1項・4項)
審判によって特に定められた代理権(民876条の9第1項)および同意権・取消権の範囲内で、財産管理に関する事務を行う
成年後見について,詳しくは以下のPDFをご覧ください。