快適なシニアライフ

快適なシニアライフをおくるために必要な事柄を書いています。詳細については文中にリンクボタンがありますので,クリックしてご覧ください。


高齢期を迎えた皆様へ ー高齢期に生じる諸問題を考えてみましょう!

心身ともに病弱になる

病気などにより寝たきりになる

光熱費や医療費の支払いをすることが身体的に出来なくなる

判断能力が低下する(いわゆる認知症等)

悪徳訪問販売等に引っかかってしまう

親族により財産を浪費される

自分が認知症になって回復見込が無くなった場合,様々な延命治療を施されることは望まないが,自分の意思を尊重してもらえる方法が分からない

介護サービスを受けようとしても独り身であったり,頼れる近親者がいなかったりして契約を締結する事すら出来ない。

こんなご心配がある方は,快適なシニアライフを考えてみましょう。興味のある方は,講演記録PDFを参照下さい

「快適なシニアライフに向けて」

1 高齢となる時期に考え,決断したいこと

(1)当ホームページをご覧になられている60代の方々へ

私(弁護士:小此木清)は既に還暦を迎えました。私たちの世代は,親の介護をする最後の世代であり,子から最初に見捨てられる世代です。私たちは,自分が老いた状況を見ようとしません。誰しも,ピンピンころりと逝くものと思っている,否,期待しています。だから,自分が介護される状況になることに思い至りません。

 

たしかに,私たちは,親を介護し,介護認定を経験し,ケアプランに基づく介護保険を利用しています。しかし,自身が相当数体験している医療保険とは対照的に,介護保険の利用はあくまで受け身でしかありません。介護サービスの利用もケアマネの計画プランを単に受け入れているだけです。利用者である高齢者本人は,客体でしかないのです。

 

また,「介護保険」と車の両輪として2000年に導入された「成年後見」制度の利用も,本人の権利擁護のための仕組みとしては,まだまだ機能していません。成年後見制度を実質的に運営する裁判所では,後見人の不祥事対策に追われ,高齢者本人の権利擁護は二の次となっているように見受けられます。

 

そこで,介護保険と成年後見制度を利用する高齢者本人が,自らの権利を擁護できるように,主体的に関わるべきです。そのためには,判断能力がしっかりしている60代の時に,自己決定可能な仕組みを利用する決断をしておかなければなりません。判断能力が衰えてきた状況になった時には,すでに遅い段階だといえます。

 

(2)老いたときの問題

私たちは,60代となった時から,将来一人暮らしになっても自宅で暮らしたいと願うならば,ただ目先を生きるだけではなく,逝く先を考え,自分の望みを伝え,自分が老いた時に自分の生き方を実現するために協力してくれる,信頼できる存在を探す必要があります。なぜなら,自分が老いてしまえば,自分の望みを伝えることもできなくなるからです。協力してくれる相手が本当に自分の期待に応えてくれるにふさわしい相手かどうかを判断することもできません。

 

一般に,60歳から70歳までの間,私たちは,まだまだ老いたと感じません。しかし,私たちが70歳を超えて老いを感じる時に,選択していかなければならない数々の問題に直面します。そして多くの直面する問題は,社会システムの中で契約という形で選択を求められるのです。

 

例えば,住居の選択にあたり有料老人ホームへの入居契約をするのか,サービス付高齢者専用住宅との賃貸借契約の締結をするのか,あるいは,居宅をフラット化するために改築請負契約を締結するかなど,考えただけでもキリがありません。診療契約や介護契約の選択もあります。また,思わぬ時に消費者被害に遭うこともあります。

 

そして,老いることによって,自分の預金を引き出すことさえ,差し支えるようになる場面に遭遇します。例えば,銀行印を忘れてしまい,いつも銀行窓口で混乱を引き起こしてしまう。一定額以上の金銭を引き出すには,窓口で使い道を示さなければ引き出しができない。自分の預金であるにもかかわらず…です。老いる前なら,普通にできていたことに支障が生じるのです。

 

(3)年代ごとに何が問題となるか

» 60代

私たちが60代となり,自分の将来を考える段階があります。多くの方は,退職年齢にさしかかります。しかし,まだまだ元気です。仕事を継続される方,社会貢献業務に入られる方,悠々自適の生活に入られる方など,第2の人生を考え,決断が必要となります。

» 70代

ところが,70代となり,判断能力の衰えを感じるようになってきます。金融機関の窓口でこれまでできたことができなくなることなど混乱を生じさせてしまう状況もでてきますが,まだ自宅で暮らしていたい段階です。

» 80代

80代となると,足腰が衰え,自宅で暮らすにはやや困難な状況となり,施設利用を検討しなければならなくなった段階となります。

 

そこで,60代となった時点で,将来の70代80代になったときに考えるべき問題解決を,具体的事例により導くことにします。

 

2 60代となった時に,検討すべき課題

60代となったらー5つのポイント

(1)ホームロイヤー

(2)任意後見人

(3)事前指示書

(4)遺言

(5)信託を準備・活用すること

(1)ホームロイヤーとは

ホームロイヤーとは,ホームドクターの社会生活版である「かかりつけ弁護士」です。大病する前に,かかりつけ医の元で,日常的に身体に異常があるかどうか検査するように,社会生活を送る中で生じる消費者被害や契約上のトラブルなどの問題解決を,かかりつけ弁護士であるホームロイヤーに日常的に相談できる仕組みです。

ホームロイヤーとして,日常的に相談できる状況から,当該弁護士との信頼関係が生まれます。信頼できるホームロイヤーに,判断能力が喪失した時の任意後見人となってもらうことで,自分の残された人生を有意義に過ごすことができ,事前指示書に基づく意思を反映させることができるのです。

(2)任意後見人

任意後見人は,判断能力が困難・喪失してしまった時に,本人に代わって財産管理,生活の支援をするもので,どこに住みたいか,どのような援助(ケアプラン)を受けたいかといったことなどの契約等の際の代理人となります。

任意後見制度ってなんですか?

本人が契約の締結に必要な判断能力を有している間に,将来自己の判断能力が不十分に,なったとき,後見事務の内容と後見する人(任意後見人)を自ら事前の契約(公正証書)によって決めておく制度です。

将来判断能力が不十分になっても,最後まで自分らしく生きるために,

「事前に老後に備えたい」と考える高齢者のニーズに応える制度

 

(3)事前指示書

事前指示書は,延命治療を拒絶するなどの書面による医療行為に対する自己決定書面です。

事前指示書とは,リビング・ウィル(尊厳死宣言)とほぼ同じ意味に用いられます。しかし,事前指示は,終末期だけに限定せず,より長い期間の広い範囲の医療に対する希望を指示することもできます。また判断能力を喪失した場合には,自分の望む治療を受けるために,誰に後見人になってもらうかを指定することもできます。

なお,オーストラリアでは,病院,介護施設への入所時,後見人と事前指示書を指定または用意することが,法律によって定められています。

(4)遺言

遺言は,自分の死後の財産配分を明示しておくものです。

(5)信託を準備・活用

遺言では,二次相続まで,遺言者は指定することができません。しかし,信託を活用すれば,その後の相続まで指定することがさらに可能となります。

3 財産活用するための有効な方法,ホームロイヤー

高齢者が財産活用するための有効な方法としては,自分が信頼できるホームロイヤーを利用することです。そして,自ら判断能力が衰えたときに,信頼できる子に任意後見人となってもらい,ホームロイヤーには,生活支援のためのコーディネーターとしての役割を担ってもらいます。

もちろん,子がいない場合,あるいは子に期待ができない場合には,ホームロイヤーが任意後見人となって財産管理と身上配慮を行う,契約を締結しておけばよいのです。

ホームロイヤーを選任することで,高齢者自身の意思に基づく資産の活用が可能となり,生活の質を確保し,快適に老いるための配慮を得ることができるのです。

 

80代となり,脳梗塞で倒れたAは,たまたま友人である医師や娘Cが身近にいて,A自身の財産を活用し,自宅を介護できるようにリフォームし,介護保険では賄えない自費による介護を追加し,かつ経口摂取訓練により自分の口で味わえる状況を作り出すことができました。つまり,高齢者の財産を活用し,身上に配慮してくれたのです。

 

しかし,このように高齢者自身の財産を本人のために活用してくれることは数少なく,むしろ,推定相続人のために高齢者の財産を凍結化してしまう事例が数多いのです。本事例において,仮に法定後見が設定された場合,後見制度支援信託により,推定相続人のために被後見人の資産は,信託銀行に保管されます。たしかに,後見人不祥事対策にはなるのですが,被後見人のために資産を活用しようとしても裁判所の許可がおりず,結果的に当該資産は本人のために活用されることができなくなってしまいます。

 

しかし,わが子がいたとしても,その望みを叶えることは困難であることを知るべきです。ましてや,独り身では,伝える相手さえ,存在しないのです。 

4 元気で暮らし,できる限り寝たきりを防ぐための生活

元気で暮らし,できる限り寝たきりを防ぐための生活は,

 

①排泄を自分でする

②自分で歩行する

③口から食べること

 

そのために,私たちはどの様に生き,何を選択すべきなのでしょうか。

 これらの生活を妨げる介護が,

 

①おむつによる排泄処理

②歩行による危険を防ぐための車いす生活

③経口でなく,胃ろうによる栄養補給

 

です。

安全のためだけの介護や延命を図るためだけの介護・医療ともいえます。

私たちは,一人暮らしになっても,できる限り自宅で暮らしたいと願い,また,足腰が立つ限り,自分で生きたいと願っています。私たちは,介護状況に至ったときにも,

①排泄を自分でする,②自分で歩行する,③口から食べることに役立つ,

そのような介護を受けることができる望みを実現していくべきです。しかし,そのときには自分で選択することはできなくなっています。

自分が選択できるときは,判断能力がある「今」でしかありません。自分が信頼できるホームロイヤーを見つけ出す必要があります。

自分に即した介護を受けることができるように,ホームロイヤーを選任し,そしてライフプランノートや事前指示書中に快適に老いる旨の内容を記載しておくことが必要となるのです。

そして,ピンピンコロリと逝けるよう,最後まで

①排泄を自分でする,②自分で歩行する,③口から食べることに努めてください。

 

5 一人暮らしの高齢者の方々へ

(1)一人暮らしの高齢者が日常生活で困っていること

自宅で一人暮らしをされている高齢者の方の多くが,可能な限り,現在の自宅での生活を続けたいと思っているでしょう。しかし,第三者の支援を受けずに一人きりで自宅で生活し続けるにあたっては,様々な問題が生じる可能性があり,実際にそのような問題に悩まされている方も少なくありません。

例えば,一人暮らしの日常生活の中で,急に病気になったり,けがをしたりしたときに,親族と同居している場合と比べ,発見や対処が遅れる可能性が相当程度に高いことは否定できません。また,財産管理においては,例えば,高齢者ご本人が病気やけがで出歩くことができなくなったときに,預貯金の引き下ろしや公共料金等各種支払いができなくなるという不都合が生じます。一人暮らしの寂しさから,親切そうに話しかけてくる訪問販売員に言われるままに買い物をしてしまって多額の被害を被った上,その被害について誰にも相談できずに一人で悩みをため込んでしまうなどの心配もあります。

さらに,認知症を発症したり,すでに発症している認知症が悪化したりした場合など,在宅介護サービスや訪問看護では対応ができず,施設への入所を検討しなければならなくなることもあります。

(2)困りごとの具体例

具体的には,認知症になり判断能力が低下すると,

  1. 買い物をして食事を作るなど生活していくために必要なことや,家賃や光熱水道費など生きていくために必要な最低限の支払い,介護保険の申請や年金の現況届など生活のために必要な手続ができなくなるなど,契約や権利行使が適切にできなくなります。
  2. 振り込め詐欺などの犯罪被害や,お世話をしてくれていたはずの友人や近隣住民による金銭の搾取,ヘルパーなど介護従事者による虐待などに遭いやすくなります。
  3. 「忘れていること」を忘れておりご本人は自分が何に困っているかが分からないことが多いため,周りの人が支援のために関わろうとしていることが理解できにくくなります。あるいは記憶障がいにより漠然と不安であるため,周りの人の支援を拒否し,その結果,今までどおりの生活を送ることができなくなるばかりでなく,命の危険にさらされやすくなるなどの問題が生じます。

このような場合,第三者による支援を受ける必要性が極めて高く,自宅での一人暮らしが困難になることが多いため,施設への入所を検討しなければなりません。

(3)準備しておくべき事柄

また,最期を迎えるにあたり準備しておくべき事柄についても,一人暮らしの高齢者,とりわけ支援をしてくれる親族がいない場合には,高齢者ご本人がお元気なうちにきちんと決めて,その意思を外部に表示しておく必要があります。具体的には,自身の財産をいつ誰にどのように承継させるかという財産承継の問題と,葬儀や埋葬方法の指定,関係機関への届出等を誰にやってもらうかなど死後事務の委任の問題,そして,認知症の悪化やその他の事情によりご本人が意思表示することができなくなったときに,治療方法についての選択,特に延命治療に対する意思表示をどのようにしておくかといった問題があります。

弁護士法人龍馬では

弁護士法人龍馬では早くから「快適に老いる」を考え解決すべき諸問題に取り組んでいます。 

高齢化した地方都市における、より質の高い法的サービスの実現を目指し,群馬県高崎市に止まらず,さいたま市・飯能市において,弁護士法人と司法書士法人とでけやき野龍馬グループを創設しました。

ご参考冊子『“快適に老いる!”~かかりつけ弁護士を身近に~』弁護士:小此木清 編著もあります。 

 書籍:弁護士と考える快適なシニアライフと財産活用 


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