欠陥住宅
新築したばかりなのに,雨漏りや壁にひび割れが発生しました。
工務店に対し,補修や建て直しをして欲しいが…?
1. 建築紛争における弁護士の活動
2. 調査報告書の項目
1 | 位置 | 欠陥現象または欠陥原因の場所を特定する。 |
2 | 現状 | 調査者本人が確認した欠陥現象を客観的に記載。 |
3 | 原因 | 確認した欠陥現象の原因を記載。 |
4 | 所見 |
当該原因の根拠法令やどの技術基準に反するか、
本来どのような施工をすべきか、 |
5 | 補修方法 |
適切な補修方法を指摘。新築建物に相応しい補修とする。 取壊・建替以外に方法なきときは、根拠を記載。 |
6 | 補修費用 | 積算資料に基づき補修費用を記載し、工程表も作成する。 |
3.欠陥判断の基準
① 設計図書を下まわる施工
② 建築基準法、同施行令、国土交通省告示・通達に違反、それらを下まわる施工
③ 住宅金融公庫の共通仕様書を下まわる施工
④ 建築学会の定める技術基準(JASS)を下まわる施工
⑤ 標準的な工法、慣行上認められてきた工法に反する施工
4.鑑定と付調停との振り分け
① 鑑定手続
- 1)構造や対候性能の欠陥
- 2)消費者対業者という異質で食うか食われるかの対立
- 3)裁判所が鑑定事項を定める
② 付調停
- 1)美匠や仕上げの欠陥
- 2)主観性が高く、司法判断に親しまない
- 3)建築士調停委員の専門的知識活用
5. 鑑定の現状と問題点
「我が国の場合、鑑定人経験のある医師、建築士等の専門家にとって、裁判所の鑑定とは、裁判所から投じられた問題について格別のルールも設定されない中で、孤独に悩みながら、多大な労力を投じて鑑定書を作成し、その後忘れられたころになって、裁判所の証言台に呼び出されて、何も見ずに訊かれたことだけにイエス、ノーで答えよ、などを強いられるという、労多くして報われることのない、不愉快な体験として記憶されることが極めて多い。」
6. 紛争処理手続きの選択
概 要 | 対 象 | 解決時間 | 備 考 | |
建築工事 紛争審査会 |
斡旋、調停、仲裁 |
建設工事 請負契約 |
調停平均6ヶ月 | 仲裁条項… 訴訟の可能性あり |
品確法における指定住宅処理機関 | 弁護士会の住宅紛争審査会 |
住宅性能 評価住宅 |
調停3回程度 | |
簡裁の調停 | 互譲が前提 | 美匠や仕上げの欠陥 | 事情による | |
訴訟 | 原則、鑑定を要する |
構造や対候 性能の欠陥 |
判決まで 平均44ヶ月 |
効率的な争点整理手続? |
7. 費用の例
住宅を購入したが、建物が傾くという欠陥があった場合。
弁護士に依頼し、売主および建築会社を相手に、補修費用等の合計900 万円の支払い請求訴訟を提起し、全面勝訴により、任意に900 万円全額を回収した場合,以下の費用がかかります。
(消費税込)
委任する際 | 着手金 | 550,000 円 |
実費 | 110,000 円 | |
解決した際 | 報酬 | 990,000 円 |