集合訴訟

不当な勧誘・不当な条項を止める!
無効な契約条項を止める!
個人対事業者では限界がある!適格消費者団体により,事業者の違法行為そのものを止めさせることができます。

集合訴訟

不当な勧誘・不当な条項を止める!

契約を解約したら,高額な違約金を請求された。払わなければいけないの?
「商品に瑕疵・欠損があっても,交換,代金の返金には,一切応じません」と記載されていた。返ってこないの?

1 契約条項が無効かも?

高額な違約金条項や事業者の責任を全部認めないような条項は,消費者契約法では「無効」とされています。
これは,「契約書に書いてある」「契約時に説明を受けた」こととは関係ありません。

2 個人対事業者では限界がある!

ある消費者が,不当な条項であることに気がつき,裁判を起こし,勝訴したとします。しかし,当該裁判では,裁判を起こした者に限り,払ったお金が返ってきたり,高すぎる違約金の支払義務がなくなったりするだけです。原因となった「悪い条項」はそのまま残っています。そのため,事業者が自分で変えない限り,不当な条項が存続しつづけるのです。その結果,契約条項に書いてあるからしょうがない,説明を受けたからしょうがないといった不公平な状態が続くのです。

消費者個人の救済では・・・

行動を起こした消費者は,救済される。
しかし,請求を諦めた消費者やそもそも被害に気がつかない消費者は,泣き寝入り状態。
ある消費者が裁判で勝訴しても,事業者が掲げる「不当条項のある契約」自体は存続している。
今後の被害が継続するおそれ。不公平な状態の継続。

3 適格消費者団体による差止請求権

「適格消費者団体」は,被害の根源である契約条項の使用そのものを止めさせるよう裁判で請求することを認めています。
同団体が裁判で勝訴すれば,事業者は,違法とされた条項を使うことができなくなります。その結果,将来的に同種の消費者被害を撲滅することができるのです。

差止請求権とは

事業者の「不当な行為そのもの」の差止を行える

差止請求の対象

差止対象となる行為

  不当行為の類型 具体例











不実告知 築10年の家を築3年と偽って販売
断定的判断の提供 A社の未公開株式について確実に値上がりするとして販売。
不利益事実の不告知 来年隣接マンションが建ち,日照を阻害することを知りながら日照良好と説明し当該マンションを販売。
不退去 帰ってほしいと言っているのに,長時間,自宅に居座る。
退去妨害 帰りたいと言っているのに,帰らせてもらえない。





使
事業者の損害賠償責任免除条項 どんな理由があっても,事業者は一切の損害賠償を負わないとする条項。
消費者が払う損害賠償額を予定する条項 解約した場合,全額をキャンセル料として返金しないとする条項。
消費者の利益を一方的に害する条項 賃貸借契約で,借主に過重な原状回復義務を課す条項
  契約類型等 差し止めの対象行為・対象表示など 
特定商取引に関する法律      訪問販売・電話勧誘販売 不実告知,不利益事実の不告知,威迫困惑行為,クーリングオフ規定に反する条項等
通信販売 申込みの撤回・解除について著しく事実に相違する表示,著しく優良・有利であると誤認させるような表示
連鎖販売取引 不実告知,不利益事実の不告知,威迫困惑行為,特定負担・特定利益について著しく事実に相違する表示又は著しく優良・有利であると誤認させる表示,断定的判断の提供,クーリングオフ・中途解約規定に反する条項
特定継続的役務提供

 

役務の内容について著しく事実に相違する表示又は著しく優良・有利であると誤認させる表示,不実告知,不利益事実の不告知,威迫困惑行為,クーリングオフ・中途解約規定に反する条項
業務提供誘引販売取引 不実告知,不利益事実の不告知,威迫困惑行為,利益について著しく事実に相違する表示又は著しく優良・有利であると誤認させる表示,クーリングオフ規定に反する条項,違約金の制限に反する条項
訪問買取 不実告知,不利益事実の不告知,威迫困惑行為,クーリングオフ規定に反する条項,違約金の制限に関する条項。
景品表示法 表示 著しく優良,著しく有利である旨の表示
食品表示法  表示 食品表示基準に違反し,販売の用に供する食品の名称,アレルゲン,保存の方法,消費期限,原材料,添加物,栄養成分の量若しくは熱量又は原産地について著しく事実に相違する表示

差止請求権を実施できる適格消費者団体は,全国にわずかしかありません。
群馬県でも,適格消費者団体を作ろうと,NPO法人消費者支援群馬ひまわりの会が活動を開始しています。当弁護士法人所属の弁護士も積極的に関与し,消費者被害の抜本的解決に尽力しています。

4 集団的消費者被害回復

適格消費者団体が実施できるのは,「差止」です。すなわち,将来の被害予防に効果を発揮するものであり,具体的な被害を直接救済するものではありません。
被害救済にあった消費者が,費用対効果や,心理的抵抗から「泣き寝入り」をすることは多くあります。
そこで,集団的に消費者の被害救済を図ることが可能になります(平成28年10月1日施行)。
新しい制度では,「『特定』適格消費者団体」が,事業者に対し,先行して訴訟します。例えば,「3月31日までに入学契約を解約した消費者に対し,授業料返還義務があることを確認する」といった訴訟をすることになります。
これで団体側が勝訴した後,具体的な消費者に返還がされることの周知がなされ,団体側に依頼することで,実際に返金を受けることができるという仕組みです。
消費者としては,事業者に返還義務があることを前提に,団体に依頼することで返金がなされるため,泣き寝入りをしなくてよくなります。

集団的消費者被害救済法の概要

(第1段階)
特定適格消費者団体が訴訟提起し,事業者の責任の有無など,共通の争点について審理し,事業者の支払義務の確認を行う。(個々の消費者の授権は不要)
(第2段階)
個々の消費者が特定適格消費者団体に授権し,債権届出手続を実施することにより,被害の回復を図る
第1段階の判断は,他の特定適格消費者団体を拘束するが,個々の消費者には影響を及ぼさない。消費者は,判断を見てから被害回復を図ることができる。

もっとも,制度上返還請求ができる対象は限定的であり,今後更に発展していく必要があります。

 

5 弁護団活動

当弁護士法人は,弁護団活動を通じ,消費者被害救済にも積極的に取り組んで参りました。「少しでも不公平を是正したい」との思いで今後も活動をしていきます。

弁護団活動の例

茶のしずく弁護団/安愚楽牧場被害対策ぐんま弁護団など