養育費不払いによる給与の差押え

養育費や婚姻費用の取り決めをしたが,相手が払ってくれないという場合,どのように対応すればいいでしょうか。


元夫が養育費を払ってくれません。どうしたらいいですか?

厚生労働省の母子家庭を対象とした統計によると,離婚後,養育費をきちんと支払っている元夫は,20%以下です(平成23年全国母子家庭調査)。※ただし,養育費の取り決め自体していないケースが約60%です。

1 履行勧告

養育費などについて調停や審判などの取決めをしたにもかかわらず守られない場合,裁判所を通じて,相手に対し,支払いを履行するように勧告する「履行勧告」の制度があります。ただし,履行勧告自体には法的強制力がないため,相手が応じない場合には,強制執行を検討することになります。

2 差押え

養育費の支払いがない場合,差押えによって回収することができます。例えば預金,生命保険,給与などが考えられます。給与等継続的な支払いがなされるものを差し押さえる場合,未払分だけでなく,将来の分まで差押えができます。例えば,現在2歳の子どもが20歳になるまで養育費を支払うと調停で決めたものの,支払いがなくなった場合,向こう18年分の養育費が支払われるまで差押をすることができます。
この差押えの特徴的なところは,差押え時の未払分を全て払っても差押えが解除されないところですともとは,未払いがあるから差押えられるわけですが,差押えられてから慌てて未払分を払ってももう遅いのです。例えば,3ヶ月分の養育費を滞納して15万円未払いがあった場合,15万円を支払っても給与差押えの効果は継続します。したがって,養育費の支払いが終期になるまで給与から一定額控除されます。 
差押えの対象として,給料債権が差し押さえられた場合,裁判所から勤務先に通知が送られてしまいますので,養育費の未払いが勤務先に知られてしまうことになります。また,支払う金額については勤務先が計算し管理するため,小規模な会社では居心地の悪さを感じることもあるでしょう。

3 差押えの範囲

通常,給料債権の差押えは給料の手取り額(税金や社会保険料等を控除した後の金額)の4分の1までというのが原則ですが,婚姻費用や養育費の場合には2分の1まで差し押さえることが可能です。(手取り額が月額44万円を超える場合には,33万円を引いた金額)
なお,会社役員である場合、役員報酬には上記の制限がないため,全額差押えられることになります。

4 差押えを受けた場合の対応

給料債権を差押えられた場合には,元配偶者に誠意を尽くして交渉し,差押えを取り下げてもらわなければなりません。
 なお,家族関係の変化や収入の大幅な増減等がある場合には,婚姻費用の減額の調停や審判を申立て,減額が認められれば,差押えの不許を求める請求異議の訴え(民事執行法35条)を提起することになります。

5 養育費決定時の注意点

差押えをするには,養育費について口約束やメモ書きではダメです。調停調書や公正証書などの「債務名義」が必要となります。
そのため,養育費について取り決めをする場合には,一度弁護士に相談することをお勧めします。 
支払い義務者側は,支払えなくなったときに,このように給料の半分が差押えられる可能性があります。養育費の金額は慎重に決めるとともに,安易な未払いをしないようお勧めします。 

このように,夫側にとっても妻側にとっても,養育費は,離婚した後も子どもが成人するまで続いていく問題です。決めるときは双方慎重に,一度弁護士に相談することをお勧めします。

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