治療・後遺障害等級

医者からは通院した方がいいと言われているのに,保険会社に治療打ち切りと言われたら治療を打ち切らなければいけないのか?
「症状固定」というのはどういう意味か?後遺障害等級ってどのように決めるの?
治療終了から後遺障害等級の認定までを解説いたします。

治療・後遺障害等級

1 治療の打ち切り宣告

 

保険会社「今月で治療費の支払いをやめますので、治療を打ち切ってください」


被害者「交通事故によりケガをし、未だ痛みが取れないのに…」

 

このような治療の打ち切り宣言をどう考えるべきでしょうか?
治療打ち切り宣告は、保険会社の下した勝手な判断に過ぎません。
つまり…,
×「これ以上治療をしてはならない。」という意味ではなく,
○「保険会社としては、既に完治ないしは症状固定していると判断するので、これ以上の治療費は支払えない。ただし、後に治療が必要と分かった場合には、その分は後で支払う。」という意味だと考えるのが良いでしょう。

そうすると、どのように対処すべきでしょうか?

打ち切り宣言を受けたら,被害者は,まず主治医とよく相談してください。そして,治療効果が上がっている限り,治療継続を検討する必要があります。
ただし、保険会社からの治療費支払いは無くなりますので、以後は、自ら治療費を立て替えて支払わねばなりません。
支払った治療費については、治療の必要性が立証できた場合には,示談ないし訴訟において清算されることになります。

被害者としては、金銭賠償よりもまずは治療が最優先です。保険会社への対応は弁護士にお任せください。

 

2 症状固定・後遺障害認定

 

損害賠償額が確定するのは、治療が完了したときになります。

 

治療の完了とは、完治した時、治療を続けても治療効果が上がらなくなった時(症状固定時)をいいます。症状固定となると、それ以上治療を継続しても治療効果が上がらないのですから、その後治療したとしても原則として治療費は損害賠償の範囲には含まれません(もちろん症状が固定しても医学上治療が必要な場合は損害賠償の範囲に含まれます)。

特に問題になるのは、症状固定時に、後遺症(後遺障害)が残ってしまう場合です。後遺障害は、程度により1級から14級まで等級があります。たとえば,いわゆる「むち打ち」として後遺傷害等級14級を判断する場合、事故態様,受傷時の状態,治療経過などのほかに,労働能力がどの程度喪失したのか、という観点から決定されます。

損害賠償額の算定において、適正な後遺障害等級認定を受けることが極めて重要になります。しかし、納得のいく等級認定を受けることは簡単ではありません。
誰が後遺障害等級を決めるのか?
損害保険料率算出機構という機関にて判断
「自動車損害賠償責任保険後遺障害診断書」を主治医に記載してもらう
後遺障害診断書,診療録,MRI等により判断

※後遺障害診断書は,医師しか記載できない 鍼灸師や整体師等による施術しか受けていない場合には後遺障害等級の獲得が困難になる
後遺障害等級については,1級~14級までの区分があり,その等級に応じて,後遺障害慰謝料や逸失利益の損害額が変わってきます。

適正な後遺障害等級認定を受け、適正な損害賠償を受けるために、弁護士へ相談されることをお勧めします。