刑事裁判の流れ

刑事裁判はどのように進んでいくのでしょうか。
刑事裁判の流れを詳しく図解,説明しています。
日本の刑事裁判が具体的にイメージできます。

刑事裁判の流れ

◆刑事裁判の手続は,以下の4つの内容に分かれます。

①冒頭手続
②証拠調手続
③弁論手続
④判決宣告

刑事裁判の流れ

① 冒頭手続について

1.人定質問人定質問 まず,証言台の前に立ちます。
裁判官が,被告人に,氏名,生年月日,住所,本籍,職業などを質問しますので,裁判官の質問に答えて下さい。
出頭した人が起訴状に記載されている被告人と同一人物かどうかを確認するためのものです。
(例)
裁判官 : あなたの氏名は?
被告人 : ○○○○です。
裁判官 : あなたの生年月日は?
被告人 : 昭和○年○月○日です。
裁判官 : あなたの住所は?
被告人 : ○○県○○市○○です。
裁判官 : あなたの本籍は?
被告人 : ○○県○○市○○です。
2.起訴状朗読定質問 検察官が,起訴状を読み上げます。被告人は証言台の前に立ちながら,起訴状に記載された事実に誤りがないかどうか内容を聞いていて下さい。
3.黙秘権の告知問 裁判官が,被告人に対して,①被告人はずっと黙っていることもできるし,②ある質問には答え,ある質問には答えないこともできること,③法廷で話した内容は被告人にとって有利不利を問わずに証拠になることを説明します。
4.罪状認否 裁判官が,被告人と弁護人に,起訴状に書かれた事実について間違いがないか質問します。
これは,起訴状に記載された事実について,争いがあるのか否かを確認するものです。
(例) 事実関係に争いのない事件(自白事件)
裁判官 : 検察官から朗読された起訴状の内容に何か間違い等はありますか?
被告人 : 間違いありません。
裁判官 : 弁護人ご意見は?
弁護人 : 被告人と同意見です

『冒頭手続が終了すると,証拠調手続に入っていきます。』

②証拠調手続について

1.冒頭陳述 検察官が,証拠によって証明しようとする事実を述べます。
具体的には,被告人の身上経歴,犯行に至る経緯,犯行状況等が陳述されます。冒頭陳述が行われている間,被告人は弁護人の近くの椅子に座ってじっと検察官の陳述を聴くことになります。
2.証拠調請求 ①まず,検察官が証拠の請求をします。
※ 具体的には,実況見分調書や被害者の供述調書や被告人の供述調書などを裁判所に読んでもらうよう請求します。
②次に,弁護人が証拠の請求をします。
※ 具体的には,被害者との示談書や被告人の反省文などを裁判所に読んでもらうよう請求したり,被告人のための証人(情状証人)について尋問の請求をしたりします。
3.証拠調べ 証拠調請求が認められれば,証拠調べが行われます。書類については読むという方法で,証人については尋問という方法で,被告人については質問(被告人質問)するという方法でされます。
被告人質問は,①弁護人,②検察官,③裁判官の順で,被告人に対して質問をしていきます。
聞かれる内容は,事件に関連する事実関係や,被害弁償についての考え,裁判後の生活などについてです。

『証拠調手続が終了すると,弁論手続に入っていきます。』

③弁論手続について

1.論告・求刑 検察官が,事件に対する意見を述べ,被告人に対してどのような刑罰を科すのが相当であるかを述べます。
2.弁論 弁護人が,被告人の弁護の総まとめをします。否認事件であれば無罪であることの理由を述べます。自白事件であれば,被告人にとって有利な事情を指摘して,刑の減軽を求めたり,執行猶予付き判決を求めたりします。
3.最終陳述 最後に,被告人に意見を述べる機会が与えられます。
(例)
裁判官 : 最後に,今回の事件で何か言いたいことはありますか?
被告人 : 反省の気持ちを述べる。
4.判決宣告 被告人に対する刑の言い渡しがなされます。
判決は,結審後,即日言い渡されるか,1,2週間後に判決期日が指定されて言い渡しが行われます。
言い渡された刑に不服がある場合は,14日以内に控訴することになります。

法廷図

法廷図