3 株式等の承継方法

(1)株式を相続すると

株式は,法律上準共有として,相続人の過半数の同意がなければ,権利行使ができなくなります(会社法106条)。

例えば,X社の株式900株を配偶者と子ども3人の家族がいた場合,配偶者は法定相続分2分の1に従って450株の権利を有するものではありません。そのため,配偶者Bと子どもの誰かが協力しなければ,権利行使すらできなくなるのです

(2)事業承継計画による承継方法

ア 生前における経営権の承継 

生前に経営権を後継者に移譲するものです。円滑な承継を実現するには,生前から移譲していくことが望ましいといえます。 

デメリットは,後継者が買い取る場合の代金の確保,後継者に移譲後の不測の事態に対応できないことが上げられます。 

 

1.売買

メリット デメリット
・遺留分に影響されない
・撤回できない(後継者の安定)
・経営権の移転が完了

・売買代金の負担

・譲渡所得税の負担

2.贈与

メリット デメリット
・後継者の負担軽減
・撤回できない(後継者の安定)
・経営権の移転が完了

・遺留分の問題

・贈与税の問題

イ 死後における経営権の譲渡

 経営権の承継について,生前に準備をしておき,実際に承継されるのは,死後の事例です。この場合でも,後継者教育には生前から着手しなければ,事業の円滑な承継はおよそ不可能です。

生前準備により経営権の承継

3.遺言     経営権の移転は死後

メリット デメリット

・先代経営者の撤回可能
・遺産分割協議を経ずに後継者が経営権を取得

・遺留分の問題

・方式不備・新たな紛争を呼び危険

・相続税の問題

4.死因贈与

メリット デメリット

・原則先代経営者の撤回可能
・遺産分割協議を経ずに後継者が経営権を取得

・遺留分の問題

・相続税の問題

ウ 信託を利用した承継

例えば,後継者に長男を指名し,長男に株式を売却又は贈与した事例で,現経営者より先に長男が死亡してしまった場合,既に売却された株式は長男の財産のため,その相続は長男の妻や子に引き継がれます。そのため,長男の妻や子が経営に関与していない場合,事業の存続危機に陥ります。

もし,後継者を長男にし,長男が死亡した場合には,二男(あるいは孫)に承継させたいと考えているのであれば,「信託」を利用することも考えられます。 信託を利用することにより,長男が死亡した後でも,長男の財産とせず,二男など法定相続人とは別の人物に株式を承継させることが可能です。

 

また,信託を利用することで,事実上「議決権」を行使するもの(経営支配をするもの)と配当などの経済的利益を受ける権利(「自益権」)を分けることができます。当該機能を利用して,信託した株式の受益権については,遺留分に配慮して後継者以外にも配分しながら,後継者が単独で指図権を有し,安定した経営権を確保するという方法をとることが考えられます。

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